核兵器反対運動について

沖縄ジャーナル

高まる「核」の脅威

核兵器禁止条約、締約国会議が今話題になっています。
今年、ロシアのウクライナ侵略で、プーチン大統領が核兵器使用を示唆したことから世界的に大きな関心を集めました。

締約国には、当然、米国、ロシア、中国、インド、イスラエルなどは入っていません。締約国の論理は、核兵器使用の抑止力にありましたが、プーチン発言によって「抑止力」が揺らぎました。

日本政府は、米国の核の傘に入ることによって間接的「抑止力」に依存しています。
皆さんは、中国や北朝鮮に核兵器で脅されたらどうしますか。難しい問題で簡単には答えられませんね。

そのことを考えるにあたって、是非以下の点も知っておいてほしいことがあります。

核兵器使用を示唆する発言をするロシアのプーチン大統領

「純粋」核兵器反対運動 と 「政治的」核兵器反対運動

 原爆で親兄弟を失った被爆者などの原爆の恐ろしさを体験された方々が「語り部」となり、様々な活動を展開されています。原爆後遺症に生涯悩まされる方の体験も筆舌に尽くしがたいもので胸が痛みます。また、被爆者の体験を聞いて核兵器反対に立ち上がった高校生など、こうした方々の活動は純粋で、心の底から核兵器を憎み、廃絶を願っていることでしよう。

 ところが、この方々を活用し、自らの政治勢力を拡大し政権奪還への力とする共産党や社民党、更には過激派の方々いるので、要注意です。

社会主義国の核は反対しない?

1955年、社会党、共産党、総評などが一緒になって、第一回の「原水爆禁止世界大会」が広島で開催されました。以後毎年開催されていましたが、第9回の時、組織が分裂しました。

それは、1961年、ソ連が久しぶりに核実験を行ったことに端を発します。社会党系の団体は、声明文の中に、「いかなる国の核実験も反対する」と入れ込もうとしましたが、日本共産党は、社会主義国と資本主義国の核実験には根本的に違いがあるので、「いかなる国」の核実験にも反対だというのは誤りだという態度だったのです。両者の協議はまとまらず、分裂することになったのでした。

※その後、1973年、中国が核実験をおこないましたが、この時は当初、共産党は「いかなる国」問題と同じ態度だったのですが、すぐに態度を変え、社会主義国の核実験にも反対するという立場をとり、社会党、共産党の長年にわたるしこりは解消し、今は合同で世界大会を開催しています。

「いかなる国」にも、というけれど

しかしながら、皆さん。そもそも社会主義国(共産主義国家の前段階)の各兵器は反対すべきでないとした共産党の体質は抜け切れていません。米国の各兵器や核実験には、情熱を傾けて、声明はもとより、街頭宣伝、反対集会など猛烈に反対しますが、中国や、北朝鮮の核実験、ミサイル実験には、コメントや声明程度で、熱心な反対運動はみかけません。温度差があるのです。

過去には、次のようなこともありました。

ソ連の各兵器に反対したら、壇上から引きずり降ろされた

1977年、ソ連がヨーロッパ(NATO)に向け、SS20という中距離ミサイルを配備し、ヨーロッパ首脳はこの問題で頭を悩ませました。結局米国が「パーシングⅡ」というミサイルをNATOに配備することになり、ソ連が躊躇。その後米ソの話し合いで、1987年、双方の中距離ミサイルは撤去となったことがありました。

その頃1982年、SS20を巡って、ロナルドレーガン大統領が、「欧州での限定核戦争はありうる」と発言に対し、欧州で反核平和運動が盛り上がったのを受け、「平和のためのヒロシマ行動」という集会が、1982年3月21日、広島で開催され、主催者発表で19万人が参加しました。

この会場に、希望者が平和への思いを自由に訴える「スピーチ広場」が設けられていました。初めこそ核兵器廃絶を願う純粋なスピーチが続いたそうですが、途中から「戦争政策を進める日帝と資本主義搾取の廃絶に向けて戦おう」などというアジ演説ばかりとなったのです。ここに参加していたある医学部学生がいたたまれずに壇上にあがり、スピーチを始めました。「私は、広島で生まれ育った被爆2世だ。核兵器に反対するなら日本に向けられているソ連の核ミサイルにも反対すべきだ」と主張すると、「右翼は帰れ」とヤジが飛び、マイクが切られ、大会関係者に腕をつかまれ壇上から引きずり降ろされたのです

「純粋」核兵器反対の方へ

今回のプーチン発言は衝撃です。この地球上に核兵器を使用すると公言する独裁者がいるということです。この人たちにとって国連も国際社会も無力だということも明らかになりました。そこで、どうでしょう。時折思うのですが、被爆写真等の展示会やシンポジウム、講演会やフリートーク、これらの企画を各兵器をもっている国々での開催です。核保有国の良心的な国民に影響を与えることは、大きな力になりませんか?米国ではいくつか行われていると思いますが、ロシア、中国で開催してはどうでしょう。勿論、自国の政治集会さえ、反政府の集会は認められていない国ですから、壁は極めて厚く、実現は不可能だとは思いますが、その働きかけのプロセスを世界に発信し、ロシア政府、中国政府を動かすまで、何度断られようとその度に世界に発信するのです。さて、その時に、日本共産党は力を貸してえくれるでしょうか。

保有数はロシアが6370発で最も多く、5800発の米国が続き、両国で約9割
引用:戦後75年、広島「原爆の日」 記憶の伝承課題 2020年8月6日 日経新聞 (リンク

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