沖縄と日本の未来を左右する沖縄県知事選

沖縄ジャーナル

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常態化が懸念される中国軍演習

「陸に上がったって何もできない。漁師が陸に上がったって干からびた河童だよ。本当、頭にくる」「生活がかかっているから行かないといけない。国と県は一体どう考えているんだろうか」


これは与那国島の漁師達の言葉である。今月4日、中国軍が台湾周辺で開始した大規模な軍事演習で、中国軍が発射した弾道ミサイルが沖縄県の与那国島や波照間島周辺の海域に落下した。落下海域に近い沖縄県の漁業関係者らからは不安と怒りの声が相次いでいる。
軍事演習はペロシ米下院議長の台湾訪問に反発した対抗措置であるが、中国政府は演習エリアをあえて沖縄に近づけ、台湾や米国だけでなく日本にも軍事的圧力をかける意図があったことを明らかにしている。今なお中国軍は演習を続行し、中国政府は今後も台湾海峡の中間線を越えた訓練を行う考えを示している。この情況は常態化しかねないとさえ言われている。

日経電子版 2022年8月24日 「習近平軍事委主席が裁可した日本EEZ内のミサイル着弾」より

「中国」は沖縄の友人か?

ペロシ氏の突然の台湾訪問に関する賛否は様々だが、中国は以前より東アジア全域に軍事勢力を拡大し続け、2019年以降、「台湾統一の際は武力攻撃を辞さない」と政府当局者が幾度も表明し、台湾海域の緊張は高まっていた。そうした中国政府の動きを懸念する国際社会の声は非常に高まっているものの、一向に耳を傾けてはいない。アジアの平和に責任を持つべき大国としては、あまりにも身勝手な振舞いだ。こうした中国の横暴かつ露骨な軍事力によって、先島諸島をはじめとする沖縄県民の平和な日常はかき乱されているのである。

沖縄はコロナ禍前まで、知事が足繁く中国を訪問するなど、中国からの観光客誘致に努めてきた。そのためか、尖閣諸島周辺への領海侵入にも知事は抗議さえしてこなかったが、今後は中国との付き合い方を抜本的に見直す必要がある。中国が沖縄の友人ではないことは明らかである。彼等の本性が今回明らかになったと言えよう。

那覇空港近くの若狭海浜公園に平成27年末龍柱が建立された(引用

台湾有事イコール沖縄危機

今回、中国の軍事演習が明らかにしたのは、台湾有事イコール沖縄危機である。自衛隊OBからも最近は台湾有事を想定したシュミレーションが議論されているが、今回の軍事演習でも分かるように中国軍は台湾を囲むように軍を配備している。そのため、台湾の東側の海域に展開する軍隊は、かえって台湾と石垣島や与那国島の先島諸島によって挟まれる形となり不利な状況を呈する。その為に、台湾有事の際には連動して、与那国島・石垣島・宮古島は様々な事態が想定されると言われている。軍事行動に及ばないとしても工作員による重要施設の破壊やサイバー・電磁波攻撃、電力・通信・空港・港湾といった重要インフラの破壊など、島全体の混乱状態に陥れ日米の支援を阻止する為のあらゆる働きかけが行われるとされる。こういった事態に如何に備えるか、国と県とが対立を超えて対話し、真剣に論じ、対策を講じなければならない。そして全ての沖縄県民のいのちと暮らしを守るべく、取り組まなければならない。
そしてまた、このことは沖縄県民だけに留まらない。日本国民全体のいのちと暮らしにもかかっている。何故なら、輸入の99.6%を海運に頼っている日本にとって、台湾海域のシーレーン確保は死活問題だからだ。

沖縄と日本の未来を左右する県知事選

いよいよ9月11日に県知事選挙投票日を迎える。真に沖縄の未来を守り抜く知事は誰なのか。沖縄県民はもとより、日本国民にとって重要な選挙といえよう。私たち沖縄県民は、沖縄の未来、日本の未来を決する県知事選挙にしっかりと考えて選挙に臨むことがl、これまで以上に求められている。また、本土の皆様にも一地方選と見ずに、日本の行方が決まるこの重要選挙に関心を持っていただくよう、心より願う。

日経新聞 2022年3月23日 日本防衛の実力(上)中国軍事力、日米を逆転へ より転載

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